12.手探りの両親との同居2

 

  そんな感じで毎日色んなことで言い合ったり、私も堪えきれず怒鳴ってしまったりして口喧嘩が絶えない状態が続いた。 

 

  今考えれば、私は何かにつけて両親に駄目出しばかりして、押さえ付けていたのは悪かったと思う。言い過ぎたかもしれないと反省する。

 

  しかし、両親が転々と老人ホームを渡り歩いた原因はこの辺にあるのだろうとも思う。文句を言っても頑固に聞き入れようとしない。実の親子の場合、言いたいことが言えないというストレスは全くないが、逆に遠慮なしに言い過ぎて深みにはまることが多々ある。

 

  少しは遠慮があった方がうまく行くのかもしれない。救いは母も私も喧嘩を引きずる方でもなく、少し時間がたつと忘れてしまうのだ。

 

   母と私は、お風呂が大好きなので、少し時間が空くと車で「スーパー銭湯」へよく行った。この辺は車で行ける圏内に「スーパー銭湯」が幾つもあるので助かる。

 

  母は家にいると退屈なのか、普段の食事や雑貨などの買い物によく付いて来た。私も遊び相手か相棒のようによく車に乗せた。父の昼ごはんを出したら、二人で回転寿司を食べに行ったり、中華街に食べに行ったりした。父は食べる量も減ってきていたし、食べる時に入れ歯を出したり入れたりするので、母も私も一緒に食べに行きたいとは思わなかったのである。

 

    父のふらつきは日毎にひどくなっていく。母は私が忙しそうにしているとすぐ外に出かけていなくなってしまう。父も母の真似をして一人で杖を付いては出かけることがある。

 

 「危ないからお父さんは一人で出かけては駄目よ。手が空いたら散歩に連れて行くから待ってよ」と私が言うと反発して一人で出かけてしまう。本当にへそ曲がりだ。母も父の散歩に付き合ってくれたら助かるのにとよく思った。