48.悪性リンパ腫の会「N」

 

 

 そんな時、父が悪性リンパ腫と病名を付けられたころに入会した。悪性リンパ腫の会「N」で講演会のような勉強会があるという通知が来た。

 

 今は、どんなささいなことでも聞きたい。わらをもつかむ思いで夫と出席した。

 

 勉強会は定期的に行われていて、患者本人が出席し医師に直接疑問をぶつけていた。医師も看護師も世界の学会や研修会などに出席し、講習を受けているので、最新情報を持っていた。

 

 母も早い時期にこういう会に来られていたらと思った。

 

 勉強会の中でアメリカではもう当たり前のように使われている新薬で日本ではまだ保険適用にはなっていない[リツキサン]という薬があること事を知らされた。その薬はCD20という抗体だけを狙い撃ちして他の細胞にほとんど影響を与えないという優れものだと聞いた。

 

 

「N」の会に来ていた医師に質問をした。「父は胃に出来たリンパ腫でしたが、母も悪性リンパ腫と診断されました。母はびまん性のB型で現在CHOP療法を行っています。少しの間は良い方向に向かっていたのですが、皮膚に赤いあずき粒のようなものが出来たかと思ったらだんだん大きくなり、噴火口のような感じになり中から分泌物が出てきています。それがだんだん大きく広がっているように見えます。そしてその赤い小豆粒の数はどんどん増え始めています。そんな感じでもリツキサンは効き目がありますか?」

 

 

 「実際に診ていないのでよく分かりませんが、リンパ腫が皮膚に出るといった例はありません。一度診察に来てもらえればもつと詳しく分かるのですが」

 

 

 「現在動かせる状況では有りません」

 

 

 「私の言えることは、現在かかっている主治医としっかり話し合うべきです」と言われ不完全燃焼で帰ってきた。早速主治医のY先生に尋ねた。

 

 

 「ああ、あれはいい薬だよ。N医大でも使っている。××さんもCD20だから使えるよ。最後の手段だな」

といわれ希望が蘇った。また保険が適用されず1本30万円とかかかると悪性リンパ腫の会「N」で聞いたが母が助かるものならとやってもらいたいと思った。

 

  現在では[リツキサン]も保険の摘要になっているらしい。