54.これからの高齢者

 

 

 おじさんは近くのビルのオーナーで、お寺の息子だという。

 

「リサイクル屋なんて大変な仕事をやらなくても悠々自適な老後を過ごせるのに」

 

「家にずっと居て何もすることもなくだらだらと、好きな酒飲んでいるだけでは、すぐに飽きてしまい、酒もおいしくなくなる。そのうちに体を悪くしてかみさんに粗大ゴミのように扱われるだろう。こうして汗をかいて、仕事が終わった時のビールの1杯は格別だぞ。一日生きたという充実感がある。それにゴミでも何でも引き取る所なんてそうそうはないから喜ばれるし、仕入れに困っている同業者に格安で分けているから、いろいろな所から買い付けに来てくれる。物を大事にくるくる回しているのだ。ぼくは良い仕事だと思っているよ。体を動かしていると飯もうまいし体調も良い。体が動く限り働くつもりだよ」

 

 

  目をキラキラ輝かせて言った。本当にそうだ。心の中でおじさんに拍手喝采! 頑張って続けて下さいとエールを送った。私としても不要物処理ができて本当に助かった。

 

   これからは高齢化社会がどんどん広がり少子化の問題も重なる。国は介護保険の費用を削ることばかり考えているようだ。

 

   年金をもらう年が七十歳からになったら、七十歳までは働かせてもらわなくては暮らしていけない。現在ではは年齢より若く見える人が多い。見えるというより、実際に若い。

 

  ニートなんて言って頼りない若者より、高齢者の方がよく働くしタフだ。もっともっと高齢者に仕事を解放して欲しい。働く人の年齢の枠を広げて欲しい。

 

  少なくとも年齢を聞いただけで首を横に振るのではなくのではなく、やる気のある人達を面接して見極めてから考えてほしい。

 

  昔、シンガポールやハワイに行った時に「マクドナルド」にかなりの高齢者がユニホームを着て働いていたのを思い出した。

 

   日本のマクドナルドでは若者が働く所の定番になっている。どんな職種でもいいから、もっともっと働ける場所を提供すればよい。

 

  政治家ばかりが高齢でも優遇されているのはおかしい。天下りも規制しているとはいえ、まだまだあらゆるところにありそうだ。不公平すぎる。

 

  元気な年配者が生きがいのない老人に変化する前に、やりがいのある仕事を与えてほしい。老人には目的もなく何もさせないから、寝たきり老人が増えるのだ。心から充実できる仕事が見つかれば、もっと長く元気でいられるはずだ。そうなれば、生活保護や医療費も抑えられる。

 

  定年の年齢も引き上げてほしい。もうすぐそこに高齢者ばかりの社会が見え隠れしているのだ。元気な高齢者は長過ぎる休暇を与えなければいつまでも働けると思う。自営業の人とか国宝級の職人さん等を見ると年齢なんか全く関係ないと思う。

 

  うちの親の早すぎる引退を悔やむ。