57.アルツハイマー病

 

 

父には細かいことは知らせずに「お父さんの頭が老化して知能指数が落ちているから、昔のように賢い頭ではなくなったのよ。自分では気が付かなくてもおかしなことを言っていることがあるのよ」と伝えた。

 

 父は「もう八十歳だからしょうがない」と自分に言い聞かせるようにうなずいていた。と思ったら「○○子もたまに変な事を言い出すから、一度検査した方がいいよ」などと言いだした。

 

 

  父が多少、変な事を言うのはアルツハイマーのせいだと思いながらも、腹の立つような言動が増えていった。それさえ気にしなければだんだん生活のリズムができて、月に1度の3日間前後のショートステイが可能になり、月1回のリフレッシュもできた。これだったら何とか月日が流れていくようにみえた。

 

  暮れの29日からお正月の1月5日までショートステイが決まった。元旦と2日は主人の実家の毎年恒例のお墓参りや初顔合わせができると思った。

 

  3日は光が丘で私の同級生だったAさんのお友達、S家で本場のきりたんぽ鍋パーティの約束もした。父はやはり家がよいのかショートステイの日が近づくと体の不調を訴えたりしたが、実際にその日になり施設に行くと顔見知りのヘルパーさんに「○○さんお久しぶりです。お待ちしていました」なんて言われてまんざらでもないようだった。父も「ここは料理がおいしいし、みんな若くてよく動くからから気持ちいいね」などと、お愛想を言ったりしていた。