65.最後に

 

 

  両親の介護という体験を通して、悩んだこと、感じたこと、疑問に思ったことを思い出すままにつづった介護記録である。介護を通して色々な人たちと知り合い、助けてもらった。

 

 

  私の両親は子供が大嫌いだった。私は幼い頃から、両親と考え方や物のも見方が違いすぎることを感じていた。私が幼かったからだと思ったこともあったが、親もとを離れて色々な人たちと関わり大人になった今でも、やはり両親の考え方についていけないと思った。そのために、さみしい思いや悲しい思い、激しい怒りさえ感じていた。

 

  両親は私を理解できずにいた。いつも笑い話でもするかのように、一人娘の私のことを、橋の下から拾ってきたとか、コウノトリが間違えてこの家に運んできたとか言っていた。

 

  私はそんなことでもひどく傷ついた。この世に神様がいるとしたら、人の気持ちを全く理解できない両親のもとに、なぜ私が生まれてきたのかという疑問と共に神様を恨みたい気持ちでいっぱいだった。

 

 

  そんな両親でも血のつながりのせいなのか、母性愛なのかはわからないが、年とともにだんだん弱っていき病魔に襲われていく両親の姿を見て、守ってあげたい、支えてあげたいと思い、愛おしいとさえ思った。

 

  最初はたった一人で親を看ていると思っていた。しかし、本当は多くの人たちに支えられていた事に気付く。そんな心の動きの中で今の医療やそれを取り巻く施設やお役所の対応、その他もろもろ感じたことや素朴な疑問などを書いたものである。

 

  最後に、私の両親の介護を、色々な面で支えてもらった方々に感謝と敬意を持って送りたいと思う。